『ドラえもんがいなくなっちゃう!?』は、小学館「小学四年生」1972年3月号に掲載された短編。のび太とドラえもんの別れが描かれる、3つある「ドラえもん最終回」のうちの1つで、『ドラえもん』のその世代の学年誌への掲載を終わらせるための便宜上の最終回である。
ドラえもんがいなくなっちゃう!?
- 話数記号:四72.3
- 分類:原作短編
- 量:10ページ65コマ
- 発表:「小学四年生」1972年3月号
- 単行本:収録なし
- 大全集:第1巻第45話
- アニメ化:1973年
あらすじ
何か困ったことが起きたのび太は、家に帰った後、いつものようにドラえもんに道具をねだろうとするが、自分の部屋にはセワシと、腕を抱えているドラえもんがいた。セワシはのび太にドラえもんのことで何かを打ち明けようとするが、そこでドラえもんが彼を制止、後で自分がそのことを言うと告げたので、セワシはそのまま未来世界に帰る。
少し間を置いた後、のび太は自分が自転車に乗れないにもかかわらず明日サイクリングに行く約束をしてしまったので、何とかしてよとドラえもんに頼み込む。いつもなら何だかんだで引き受けてくれるドラえもん。しかしのび太がねだり続けると、ドラえもんは急に怒りだし、ただ乗れるようになるまで練習しろと言って怒鳴りつけた。
のび太は彼の機嫌の悪さに少々驚き部屋を慌てて出るが、どうせいざとなれば助けてくれるだろうと踏む。そう考えているのび太を横目で見たドラえもんは、彼が自分に頼りっぱなしになっている現状を嘆く。それでも仕方なく、そのセワシに託されたその重大なことを、思い切って彼の前で打ち明けに行こうと、のび太の元に迫り来る。
ところがそこでのび太は彼の好物のどら焼きをご馳走し、彼をおだて始める。結局ドラえもんはのび太に、自分が未来世界に帰らなくてはならないことを告げることは出来なかった。そのことをドラえもんがセワシに報告すると、セワシは妙策を思いついて彼に伝える。
のび太はドラえもんがいつの間にか席を外しているのを不思議がっていると、2階の部屋から叫び声が聞こえて来た。急いで駆けつけてみると、そこには何かに悶え苦しみながら転がり暴れるドラえもんがいた。そこにセワシが到着し、機械がさび付いてドラえもんが壊れかけていると言う。のび太はセワシに未来世界で直してあげようと言う。セワシに連れられて引き出しに入ろうとするドラえもんは、自分がいなければ困るのではないかとのび太に尋ねる。するとのび太は、ドラえもんが元気になるためならどんな我慢でもすると力強く宣言する。
その言葉に感動したドラえもんは号泣し、自分が壊れかけているように見せたのはみんな演技だったと思わず明かしてしまう。自分が未来世界に変えるために嘘をついた二人にのび太は怒るが、二人は、ドラえもんに何でも頼り過ぎる癖がついたのび太をダメ人間にしないために、敢えてドラえもんを未来に帰らせようとしているのだと明かす。
その思いやりを感じたのび太は納得し、自信は無いながらも一人で何事も頑張ることを約束し、ドラえもんが未来へ帰ることを受け入れる。そうして、三人は涙ながらにさようならを告げた。
後日、家の前には、ドラえもんとの約束を果たすために、何度転んでも、無理をしないようにと言われても、自転車に乗るための練習を続けているのび太がいた。一方、未来世界ではその様子をタイムテレビ越しに応援しているセワシとドラえもんがいた。
作品解説
『ドラえもん』は基本的に毎月小学館の学年誌にそれぞれ別の作品が連載されており、藤子不二雄はその対象年齢に合わせて作品内容を書き分けていた。初期の1969年度から1972年度までは、『ドラえもん』は小学館の学年誌では、「小学一年生」から「小学四年生」までの連載であり、つまり「小学四年生」の3月号掲載作品は、その読者世代にとっての最後の『ドラえもん』であった。そのため、これに係る作品は、のび太とドラえもんが別れる内容が描かれることが多く、本作品『ドラえもんがいなくなっちゃう!?』もその2作品のうちの一つである。
しかし、1973年度から連載の幅が「小学六年生」までへと広がった。これにより、1961年度生まれの世代は、「小学四年生」1971年度3月号の本作品で一旦『ドラえもん』を卒業したはずだったが、再び「小学六年生」1973年度4月号から『ドラえもん』を読み始めることとなった。4月号を予告する雑誌には、「再開の予告」として、別れたはずのドラえもんが再びのび太の元に戻ってくるという内容の、2ページ7コマの漫画が挿入された。
アニメ化
過去に一度だけテレビアニメ化がある。
- 『さようならドラえもんの巻』(A1.52)
日本テレビ版アニメ1973.9.30放送。日本テレビ版『ドラえもん』の最終回である。
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